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2015年08月11日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
ヒューマンネットワークグループ、東京会計パートナーズの税理士、島﨑です。
先日暑気払いを兼ねて会社の皆さんとインド料理を食べてきました。
夏に辛いものはいいですね。元気になったような気がします。
さて、今回は、民事信託を利用した事業承継対策ついてお話しいたします。
オーナー社長の身に何か起こったときに会社はどうなるでしょうか。
突然の病気。突然の事故。さらに認知症の心配も。
そんな場合に対応できる民事信託の活用方法をご紹介いたします。
☑信託とは
信託のおさらいです。
信託には委託者、受託者、受益者の3人が登場します。
3人と言いましたが、それぞれの立場を一人が兼任することもできます。
委託者はもともとの財産の所有者です。
受託者は委託者から委託された財産を管理、運営し、また場合によっては処分をして、
その財産から得られた利益を受益者に渡します。
税法では受益権の移動があった場合に財産の移動があったと判断しますので、
もともとの所有者が受益者となっていれば税金はかかりません。
☑信託の活用
事業承継において重要な地位を占めるのが自社株式の問題です。
株式の所有者には議決権を行使する権利(共益権)と
配当や残余財産を受ける権利(自益権)があります。
株式を信託すると受託者に議決権を行使する権利が移りますので、
受託者が経営権を握ることになります。
配当や残余財産を受ける権利は受益者が持ちます。
☑子が議決権を持つ
経営者である親(委託者兼受益者)が自社株式を子(受託者)に信託します。
そうすると子は自分の意志で議決権を行使できるようになります。
配当は親がもらいます。受益者が変わらないので税金はかかりません。
親が死亡したり痴呆症になった場合には、
受益権が子に移動するような契約にしておけば、
遺言と同じような効果もあります。
受益権の移動があれば税金の対象となります。
☑親が議決権を持つ
逆に、株式は子に渡しますが、議決権はオーナー社長に残したい場合にも
信託は活用できます。
親を受託者とし子を委託者兼受益者とする信託契約を結びます。
受益権は親から子に移りますので贈与税がかかります。
親が受託者になっていますので親が議決権を行使します。
つまり、財産権は子に移しましたが、経営権は親に残ることとなります。
親が死亡したり痴呆症になった場合には、
受託者の変更や信託が終了するような契約にしておけば、
経営者の不在を回避することができます。
☑おわりに
信託は当事者間の契約ですから、
様々な条件を付けることができますので、
その設計次第であらゆる問題に対処できます。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。