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2016年03月07日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、経営者保険プランナーの尾崎です。
本日は、「会社の後継者」でなくても「会社の株主」でなくても
経営権を支配できてしまった事例についてご紹介いたします。
通常、相続が起こった場合、10ヶ月以内に遺産分割協議書にサインをし、
誰がどの財産をどれだけもらうのか決定し、それに対する相続税を納税します。
自社の株主に相続が起こった場合、その株主が持っている自社株も遺産分割の対象となります。
ただ、分割協議中である10ヶ月間にも株主総会は開くことが出来ます。
その自社株が遺産分割協議中で、
誰がどれだけ引き継ぐか決まっていない状況で株主総会が開かれた場合、
このいわば宙に浮いている自社株の議決権はどのように取り扱われるのでしょうか?
ひとまず法定相続分通りに分けて議決権を決めるのでしょうか?
実はそうではないというところに、落とし穴があります。
以下事例にてご紹介いたします。
X社はオーナー企業で、発行済み株式数は1,000株あります。
持ち株割合はA社長600株、
他の株は息子で後継者のB専務に贈与しており400株持っていました。
また、A社長の妻は既に亡くなっております。
B専務にはCさんとDさんという2人の兄弟がいました。
この状況で相続が起こりました。
相続から10ヶ月以内に、株主総会を行った場合、
A社長の相続財産である600株は、
分割が終了するまで各相続人が法定相続分で共有することになります。
ここで言う共有の意味は、200株ずつ持つという意味ではなく、
600株の1/3を持つという事になります。
つまり、1/3ずつあわせて1つの権利という事となり、
600株の意見を統一しなければなりません。
もし統一できない場合は共有者の多数決によって決定します。(会社法106条)
従って、総会の議題についてB専務とCさんDさんが揉めた場合、
CさんとDさんの反対をもって600株の総意とする事ができます。
極端に言えば、CさんとDさんの共有分の600株で
生前に400株しか持っていないB専務を取締役から解任する事もできるのです。
CさんDさんが社外の人でも変わりません。
「会社の後継者」でなくても、
又は「会社の株主」でなくても経営権を握った結果となった事例でした。
今回は、自社株式の相続にまつわるリスクをご紹介いたしました。
弊社は、税理士法人東京会計パートナーズとチームを組んで
お客様の事業承継をサポートいたしております。
自社株式について、少しでもご不安点がございましたらいつでもお問い合わせ下さい。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。