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2016年06月09日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
税理士の島崎です。
分掌変更による退職金をご存じでしょうか。
代表取締役社長が非常勤の取締役会長となられる時など、
役員としての地位や職務の内容が激変して、
実質的に退職したと同様の事情にある場合に、
退職金として支給したものは退職金として取り扱うことができます。
これを分掌変更による退職金といいます。
どんな場合に、役員として職務の内容が激変して、
実質的に退職したと同様の事情にある場合に該当するのでしょうか。
法人税法基本通達9-2-32では次のような場合としています。
(1) 常勤役員が非常勤役員(常時勤務していないものであっても
代表権を有する者及び代表権は有しないが実質的に
その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)
になったこと。
(2) 取締役が監査役(監査役でありながら実質的に
その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者
及びその法人の株主等で令第71条第1項第5号
《使用人兼務役員とされない役員》に掲げる要件の全てを
満たしている者を除く。)になったこと。
(3) 分掌変更等の後におけるその役員(その分掌変更等の後においても
その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く。)の
給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと。
通達に記載されている「常勤役員が非常勤役員になったこと」や
「給与が激減(おおむね50%以上の減少)したこと」などは、
あくまでも例示です。
重要なことは、退職後も法人の経営上主要な地位を
占めているかどうかです。
会長になって出勤日数を減らし、役員報酬も減額したとしても、
法人の経営上主要な地位を占めていると判断されれば役員退職金は否認されます。
例えば製造業の場合、製造上のノウハウを会長のみが知っているとして
退職金が認められなかったケースもあります。
法人の経営上主要な地位を占めているかどうかは、
様々な状況から総合的に判断されることになります。
役員退職金が否認され、賞与と認定されると法人税の追徴、
そして個人も退職所得から給与所得となり所得税の追徴課税となります。
役員退職金を支給すると自社株の評価額が下がるので、
そのタイミングで後継者への株の移動をしているケースがかなりあります。
退職金が否認されると、自社株の評価額も元の高額なものとなり、
思わぬ課税を受ける場合があります。
退職金の否認だけは避けなければなりません。
東京会計パートナーズでは事業承継対策の一つとして
否認されない退職金についてのコンサルティングを行っています。
役員退職金の支給を考えていらっしゃる経営者の方は
是非お問い合わせください。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。