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2016年12月07日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
経営者保険プランナーの肥後です。
先日お客様から
「株を多く持ったまま会長になる場合は
退職金がとれないって聞いたんだけど本当なの?」
というご質問をいただきました。
本日のブログでは、この点について書いてみたいと思います。
結論から言いますと、
代表取締役社長から取締役会長になる
いわゆる分掌変更における実質退職判定において、
大株主だからといって退職所得として認められない
ということはありません。
この点に関しては東京地裁の
平成20年6月27日の判決が参考になります。
以下、実際の判決文のうち重要な箇所だけ抜粋します。
「原告乙は役員の分掌変更の前後を通じて原告会社の発行済株式の35%を所有する筆頭株主ではあるものの(中略)仮に、原告乙が筆頭株主として原告会社に対して何らかの影響を与え得るとしても、それは、あくまで株主の立場からその議決権等を通じて間接的に与え得るにすぎず、役員の立場に基づくものではないから、株式会社における株主と役員の責任、地位及び権限等の違いに照らすと、上記のような株式保有割合の状況は、原告乙が原告会社を実質的に退職したと同様の事情にあると認めることの妨げとはならないというべきである」
つまり、株主の立場としての影響と、
役員の立場としての影響は違うと言っているわけです。
分掌変更において退職所得と認められるか否かは、
退職の実態がポイントになります。
これについては法人税基本通達9-2-32には
「分掌変更等の後においても
その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる者を除く」とあります。
では、「経営上主要な地位を占める」とは何を持って判断するのでしょうか?
通達では明確な規定(線引き)をしておりませんので、
「主要な地位から離れ、実質経営から引退している」
と判断されやすい事実を積み上げていくことで、
税務調査で否認されるリスクを軽減するしかないでしょう。
では、その積み上げていくべき事実とはどのような内容でしょうか?
一般的なポイントについて列挙してみます。
・ホームページ、会社案内などに記載の組織図
・議事録、稟議書、報告書などへの氏名の記載、押印
・新社長就任の祝賀会の開催
・取引先への代表取締役変更の通知、社内報の記事
・退任後の給与の額
・出社の頻度
・融資などに伴う銀行員との面談
・関与している業務の重要性
・顧問税理士との面談
・取締役会、経営幹部会などの出席、発言
事情は会社ごとに異なります。
退職を数年後に控えられますと、
顧問の税理士と充分にお打ち合わせされることと思います。
弊社グループの税理士法人東京会計パートナーズでも
セカンドオピニオンとして随時ご相談を受け付けておりますので、
お気軽にご相談ください。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。