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2017年09月26日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
経営者保険プランナーの塩崎です。
日々、全国の経営者様の元へお伺いさせていただいております。
そこで、よく次のようなご相談をいただきます。
「高額な役員退職金を受け取り、株価が下がったタイミングで
後継者に株を移行しようと思っている。
実際に株価が下がって、株を移せるのか心配である。」
役員退職金を受け取ることは、経営権を承継するタイミングでもあります。
一般的に優良企業は、株価が高騰しており、
後継者に株を移行するのが困難になる場合があります。
株を移行できないことで、後継者が経営に専念出来ないというだけでなく、
万一が発生した場合は経営者のご家族が多額の
相続税を支払わなければならないこともあります。
実際に"自社株の評価を下げる"という目的も兼ねて、高額な役員退職金を受け取り、
株価が下がったタイミングで株を後継者へ移行する計画を立てた方がいらっしゃいました。
しかし、計画通りに役員退職金を支給したにもかかわらず、
株価が思ったほど下がりませんでした。
役員退職金の準備方法や支給の仕方によっては、
例え高額な金額を支給したとしても株価が下がらないことがあります。
そこで今回のブログでは、役員退職金を支払うことで株価が下がる仕組みを
確認していただきながら、評価を下げる効果的な準備方法をご紹介いたします。
役員退職金の支給によって株価が下がる仕組みは次の理由からです。
1、利益の圧縮
役員退職金の損金計上による利益の引き下げにより、株価評価にあたる類似業種比準株価額が下がる。
2、純資産の圧縮
役員退職金の支払いによって純資産が減少し、株価評価にあたる純資産価額が下がる。
株価評価には、「利益」「純資産」、そして「配当」といった3つの要素で決まります。
そのため退職金を支給した事業年度の翌年には、自社株の評価額が下がり、
株をスムーズに移しやすくなります。
役員退職金の準備に、生命保険を活用するケースが多くあります。
なぜなら、毎期の利益を経費化しながら簿外に退職金の原資となる資金を
積み立てることが出来るからです。
しかし、活用する保険種類によっては、たとえ高額な金額を支給しても
株価が下がらないタイプの保険もあります。
それが全額損金の生命保険です。
仮に特別損失となる役員退職金の支給を全額損金の保険で賄ったとしても、
株価が下がらない理由は、先ほどの株価評価の仕組みに当てはめると次のようになります。
1、全額損金の保険は解約した際に全額が益金計上になるため、
特別損失になる役員退職金と相殺されることで利益の圧縮にならない。
2、解約返戻金から役員退職金を支払うことで、純資産の圧縮にならない。
全額経費で役員退職金を積み立てることが出来るのは法人の資金繰りの観点からみると
非常に魅力的ではありますが、その出口をみると株価を下げる効果はありません。
役員退職金の準備の際には、その先の事業承継を見据えた準備が必要不可欠になります。
株価を下げる、役員退職金の準備方法
① 内部留保から支給する
内部留保から役員退職金を支給することで純資産が圧縮されて株価が下がります。
しかしながら、会社の運転資金である現金が減ることで、
後継者に負担を残してしまう可能性がありますので注意が必要です。
② 1/2損金の保険を活用する
保険料の半分が損金になる保険は、役員退職金の準備としてバランスの良い商品です。
仮に、ご勇退の時期に解約返戻率100%の1/2損金の保険に加入します。
解約返戻金が5,000万円を受け取ることが出来る商品を解約すると、
半分の2,500万円が益金計上となります。
これは、保険料の半分が資産計上されていたからです。
そのため、役員退職金を受け取ることで2,500万円のマイナスが発生し、
その期の利益と純資産を圧縮することが出来ます。これにより株価が下がります。
銀行のことを考えると赤字にはしにくいとの声をいただくこともありますが、
事業承継の重要性やタイミングを事前に銀行に説明しておくことで、
一過性のマイナスと理解してもらえるケースが多くあります。
ここからも、役員退職金の準備や支給にあたり、
その先の事業承継相続を見据えた準備が重要になると感じていただけるのではないでしょうか。
さらに役員退職金支給という絶好のタイミングを生かし、
株の贈与、譲渡などを行ってはいかがでしょうか。
不動産管理業など今後も利益が継続的に出続ける場合には、
役員退職金支給で株価が下がったタイミングで相続時精算課税制度を活用することも効果的です。
弊社では、単なる役員退職金の資金準備ではなく、
自社株の承継・相続を見据えた効率的な退職金準備のご提案をしております。
経営者様に特化した生命保険の代理店として、
お客様ごとのニーズに合わせた具体的な保険の活用方法などをご紹介が可能です。
ぜひ一度、お気軽にご相談下さい。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。