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親族間事業承継を成功させる秘訣とは

※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。

150113


こんにちは!経営者保険プランナー、相続診断士の中山です


さて、2015年の税制改正で、法人税の引き下げが決定し、

法人実効税率は現在の34.62%から、2015年には32.11%、

2016年度には31.33%と段階的に引き下げられることとなりました。


しかしその一方で、税収減を補うために

中小企業や公益法人への課税強化が検討されているとの話もあり、

オーナー経営者の心境としては複雑なところでしょう。


今後は法人・個人ともに、

いかに上手にお金を残していくかが重要な経営課題となっていきそうです。


さて本日のブログでは、

オーナー企業の親族間事業承継についてお話しをさせていただきます。



<目次>
・オーナー企業が抱える事業承継の課題
・事業承継のタイムスケジュールを決めていますか?
・おわりに



オーナー企業が抱える事業承継の課題



オーナー企業の事業承継の形態は時代ともに変わってきています。

2014年度中小企業白書によれば、

約25年前は親族間承継が約70%と圧倒的に多かったのに対し、

90年代後半からは急激に減少しています。


2012年には親族間承継の割合が全体の約40%まで下がり、

社内からの昇格による承継と同じくらいの割合になりました。


親族間承継が急減した原因のひとつには、

バブル後の俗に言う「失われた20年間」に、

父である中小企業の経営者の苦労する姿を見てきた子供なりの考えがあるのだと思います。


しかし、現在でもオーナー社長の多くが、

「できることなら将来は子供に会社を継いで欲しい」と考えているようです。


社内からの昇格による事業承継を選んだ企業であっても

「本音では子供に継承したかったが、

子供が継いでくれないことが分かり、仕方なく社内で昇格させた」

というような話をよく伺います。


第3者承継には、自社株や、会社の借入金の個人保証など

会社経営にまつわる財産や負債の引き継ぎに大きなハードルが存在します。


親族間承継は、そのようなハードルが比較的低く、

社内外の関係者からの理解が得やすいという点で、

現在でも最も一般的な事業承継の形と考えられています。



事業承継のタイムスケジュールを決めていますか?



今から7年前のことです。

ある社長から、親族間承継で興味深いお話を聞く機会がありました。


初めてお会いした時、その社長は金庫から年表らしきものを持ってきてくださいました。

それは、事業承継のタイムスケジュールでした。


そこには、創業者である先代の頃の記録から、

社長が退任した後の将来の予定までが、びっしり書いてありました。


社長には、男の子がひとりいて、

将来はその子を社長にと考えていました。

しかし、当時はまだ高校生になったばかり。

将来社長の会社に入社することは確定していませんでした。

しかし年表には、「長男が大学卒業と同じ年に入社」とありました。


また社長は、長男への承継前の中継ぎ社長として、

当時常務だった甥を考えていましたが、

「自分が65歳になったら、甥を社長にする」

「甥が65歳になったら、長男を社長にする」と、

自分自身が退任したあとのスケジュールまでを年表に書いていました。


力強い文字で書かれた年表からは、

「創業者から次世代へ必ずバトンを渡していく」

という社長の使命感のようなものを感じました。

社長はこのスケジュールを私に見せながら、おっしゃいました。


「将来はこの年表どおりに行かなくてもいい。

ただ、これに込めた気持ちはきっと後継者に伝わるはずだ。

先代と、自分。そして息子とのつながりが感じられる何かを、

子供に残してあげたいんだよ。」


あれから7年。その社長は予定どおり65歳で勇退し、

甥が社長として会社を引き継ぎました。

そして今年の春、社長の会社には大学を卒業したばかりの長男が入社しました。



おわりに



事業承継の対策を考えなければいけないと分かっていても、

将来どうなるかわからない、

まだ何も決まっていないという経営者の方は多いと思います。


ただ、これまで多くの経営者にお会いしてきた中で感じるのは、

将来どのような形で会社を引き継ぐとしても、

後継者候補として考える子供には、なるべく早いうちから、

社長のビジョンや思いを伝えておくことが重要なのではないかということです。


私がお会いした社長が書いていた年表は、

有効な手段のひとつだったのかもしれません。


事業承継にお悩みのオーナー社長は少なくありません。

そんな社長にとって、私たちが少しでも役立つ存在となれたら・・・。

今でも時折、あの年表のことを思いだしながら、

日々の仕事に取り組んでいます。








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