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2015年10月14日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは。経営者保険プランナーの金子です。
最近、お客様のところへ向かう電車の車窓から
澄んださわやかな風が黄金の稲穂を揺らしている風景を目にします。
いよいよ実りの秋を感じる今日この頃です。
さて、今回のブログは、自社株贈与の落とし穴について紹介いたします。
☑自社株を長男に残したい・・・
円滑な事業承継のために、オーナー社長は、
後継者が事業用資産を確実に取得できるようにする必要があります。
しかし、オーナー社長の財産のほとんどが自社株というケースが一般的で、
後継者の経営権の確保という意味で、
安易に「分けにくい」という課題をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
先日ご相談をいただいた事例をご紹介します。
A社長は今年で62歳。
年齢的なこともあり、経営を頑張っている長男を後継者にして、
自社株を全て贈与したい、何か問題はあるのか、ご相談を受けました。
社長のご家族は、お子様が3人(長男、次男、長女)と奥様を含めた4人。
長男1人に自社株を贈与した場合、
社長の財産のうち、自社株のウェイトが高いと遺留分の問題が出てきます。
☑遺留分に注意しよう
遺留分とは、相続人に保証されている相続財産のことをいい、
原則として法定相続分の半分です。
今回でいえば、長男に自社株を全て贈与した後、
実際に社長が亡くなったとします。
そして、生前贈与した自社株が次男、長女の遺留分を侵害しており、
それに納得できない次男、長女が、
遺留分減殺請求(侵害された分を他の相続人に請求して取り戻す請求)を行うことがあります。
生前贈与した自社株は既に長男へ移っていて、
長男名義になっているので遺留分(相続財産)に関係ないと思われるかもしれませんが、
実は、生前贈与された自社株は「相続財産の前渡し分」として「特別受益」に相当するため、
相続発生時には相続財産に含めなくてはなりません。
また、遺留分を計算する際の自社株の評価は、生前贈与した時点ではなく、
相続発生時(社長の死亡時)で計算されるため、
後継者が会社業績を良くすればするほど高い金額で評価されてしまいます。
☑おわりに
遺言で自社株を長男のみに残すことは可能です。
その代わりに遺留分に相当する金額を
長男が自己の財産から次男、長女に代償財産を渡す方法があります。(代償分割)
自社株の遺留分を現金で支払う場合、
金額が大きいと長男は支払いに困ってしまいます。
そこで、生命保険が有効になってきます。
遺留分支払いをするために、
社長の死亡時に受け取れる保険金の受取人を長男にしておけば、
すぐに使える現金を残すことができます。
死亡保険金は受取人固有の財産であるため、
他の相続人に分ける必要がなくなる財産です。
したがって、遺留分減殺請求を受けた場合、
遺留分支払いのための支度金として活用ができます。
私たちは社長の想いをお聞かせいただき、
円滑な事業承継のための対策をご提案しております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。