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2016年01月29日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
平成27年1月より、相続税の最高税率が55%に引き上げられたことは
皆様すでにご存知のことと思います。
相続財産6億円を超えた部分に55%の最高税率がかかります。
成功した経営者のなかには、
自社株評価だけで6億円を超えるといった方も少なからずいらっしゃるでしょう。
先日、そうした経営者の方から、
「仮に財産が10億円だと5億円を超える相続税を払わなければいけないの?」
という質問をいただきましたので、
このことについて今回は書いてみたいと思います。
相続税の算出方法は、相続人が実際に取得した財産に
直接税率をかけるというものではありません。
正味の遺産額から基礎控除額(3,000万円+法定相続人×600万円)を差し引いた
残りの額を民法に定める相続分により按分した額に税率をかけます。
また、配偶者の場合は実際に取得した正味の遺産額が、
1億6,000万円か法定相続分相当額のいずれか多い金額までは
相続税がかからないという税額軽減の特例があります。
ただし、相続税の申告期限までに分割されていない財産は対象外となります。
仮に、遺産総額10億円 配偶者 子供2人の場合で見てみましょう。
基礎控除額は3,000万円+600万円×3人=4,800万円で
10億円-4,800万円=9億5,200万円に
法定相続分で按分した額に税率をかけます。
法定相続分は配偶者2分の1で4億7,600万円
お子様それぞれ4分の1ずつで2億3,800万円
この額をそれぞれ下記の速算表にあてはめます。
奥様は4億7,600万円なので、表の6億円以下にあてはめ、
4億7,600万円×50%-4,200万円=1億9,600万円
お子様は2億3,800万円ですので、表の3億円以下にあてはめ、
2億3,800万円×45%-2,700万円=8,010万円
この合計、1億9,600万円+8,010万円×2人=3億5,620万円が
かかる相続税の総額となります。
そこで仮に、法定相続分どおり、財産を分けた場合には、
奥様が3億5,620万円の2分の1の1億7,810万円
お子様がそれぞれ4分の1で8,905万円が
かかる相続税額です。
奥様は、配偶者の税額軽減の特例が使えますので
実際にかかる相続税は8,905万円×子供2人=1億7,810万円ということになります。
つまり、10億円の相続財産に対する負担率は約17.8%ということになります。
この計算から、配偶者がいる場合の相続(いわゆる一次相続)よりも、
その後配偶者がいない相続(いわゆる二次相続)の際に、
多額の相続税がかかることが分かります。
いずれにしても、相続税の申告は
亡くなってから10ヶ月以内の現金納付が原則ですので
遺産の大半が自社株や不動産などという場合、不動産を売却するか、
納税のために会社から借入れをしなければならない事態になります。
そうならないためにも、
まずは直近の自社株評価をするなど、社長の財産総額を洗い出し、
今、万一の場合に、いくらの相続税がかかるのか、
一次相続、二次相続までを見据えて試算してみることをおすすめします。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。