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2016年04月20日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
経営者保険プランナーの肥後です。
今回は、オーナー社長の給与についてお話ししたいと思います。
一般的に、オーナー社長の場合、自分の給与は自由に設定できます。
もちろん、会社の業績が良ければ、高くなり、悪ければ低くなるでしょう。
では、会社の業績が良ければ、役員給与はいくらとってもいいのでしょうか?
答えはNOです。
会社法には取締役の報酬規制があり、
税務上は過大な役員給与は、損金不算入となります。
では、「過大な役員給与」になる基準はあるのでしょうか?
過大かどうかを判定する基準として、
「形式基準」と「実質基準」の2つがあります。
「形式基準」とは、
①報酬等のうち額が確定しているものについてはその額
②報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
③報酬等のうち金銭でないものについてはその具体的な内容
を会社の定款に定めるか、株主総会にて決議するものです。
ここで注意しなければならないのが、
「みなし給与」となる金額分を考慮せずに金額を設定している場合です。
例えば、社長を満期受取人とする養老保険を加入している会社では、
保険料の半分が給与扱いになりますので、
その金額も含めた限度額を設定する必要があります。
この設定をしていないと保険料は損金不算入となりますので改めてご確認ください。
「実質基準」とは社長や役員の職務内容などから判定して、
不相当に高額な場合に過大役員報酬として認定するというものです。
税法では下記の4つの「実質基準」を定めています。
①当該役員の職務の内容
②その法人の収益の状況
③その法人の使用人給与の支給状況
④その法人と同種・同規模法人等の役員報酬の支給状況
この基準から具体的にいくらならOKかを判断するのは難しいですが、
平成6年の名古屋地裁の否認事例が参考になります。
本件は前年売上1億3,000万円から1億8,600万円に増加、
所得(利益)430万円から1,380万円に上がった法人が
社長の役員報酬を前年360万円から1,800万円に、
奥様の役員報酬を300万円から960万円に上げたことに対し、
過大な役員報酬であるとし税務否認しました。
その根拠として、売上の増加(約1.43倍)を基本とし、
粗利益の増加(約2.25倍)を加味して考えるのが合理的で、
本件役員報酬に関しては前年度の1.5倍までの範囲の増額が妥当として、
原告の上告を棄却しています。
ここからも分かりますように、あまり急激に報酬を上げたり、
会社の規模や利益に対して明らかに高額ですと、
否認リスクは高まるといえるでしょう。
そもそも課税所得1,800万円を超えると
所得税・住民税合計で50%課税される日本において
高額な役員報酬を支給すべきかどうか、他の方法はないかを
検討してみてはいかがでしょうか。
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