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2017年05月12日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、経営者保険プランナーの小林です。
自社株承継の方法をお考えの経営者の方から
事業承継税制について本当にメリットがあるのか、注意点は何かなど
尋ねられることが多々あります。
そこで今回は"事業承継税制"を検討される前に知っておきたい事をご紹介致します。
事業承継税制とは、後継者が、相続または贈与により、
あらかじめ経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から取得した場合、
納付すべき相続税の80%、贈与税の全額が猶予されるという制度です。
ただし、活用にあたっては、相続税・贈与税の申告期限から5年間は、
以下の要件を満たして事業を継続する必要があります。
① 雇用の8割以上を5年間平均で維持
② 後継者が代表を継続
③ 先代経営者が代表者を退任
④ 対象株式を継続して保有
⑤ 上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社に該当しないこと
中でも、深刻な人手不足の中で雇用要件が高いハードルになっている企業も少なくないようです。
要件を満たせず、贈与税の納税猶予中に認定取消になった場合、
相続税よりも高額な贈与税を納税するリスクがあることはご存知でしょうか。
【事例】
・総議決権株式数1万株、1株3万円、株価総額3億円。
・先代経営者は株式全体の2/3(2億円)を保有しており、後継者へ当該株式の全株を移転する。
その他の資産はないと仮定します。
・相続人は後継者1名のみ。
①何も対策せず、相続が発生した場合
(2億円-3,600万円)×40%-1,700万円=4,860万円
2億円に対する相続税は4,860万円
②贈与税の納税猶予を活用するも、途中で猶予取消となった場合支払うことになる贈与税は
(2億円-110万円)×55%-640万円=贈与税:約1億300万円
このように普通に相続が発生した場合と比べて
約5,400万円も高い税負担となってしまいます。
そこで、贈与税の納税猶予取消時の納税額に対して、
相続時精算課税制度との併用を認めるという改正がありました。
先程の事例で
③猶予取消時に相続時精算を併用した場合の納税額は、
認定取消時に支払うことになる贈与税額
2億-2,500万円×20%=贈与税:3,500万円
相続発生時に支払うことになる相続税額
4,860万円-3,500万円=相続税:1,360万円
贈与税と相続税合わせて4,860万円となります。
よって、納税猶予制度取消となった場合でも相続税と同額の負担に抑えることができます。
納税猶予制度では先代経営者の死亡などにより、
納税が猶予されている贈与税の納付が免除されるなど、
制度の活用により税負担を軽減することもできますが、
その反面、要件をクリアできなくなった際のリスクも知ったうえで
制度の導入を検討する必要があります。
最適な事業承継対策とは何か、
対策ごとのメリット、デメリットを知りたい方は是非一度ご相談下さい。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。