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2018年11月08日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは。マーケティング部の齋藤です。
さて今回は、ヒューマンネットワークグループへ
お問い合わせいただくことが多い、
理事長先生の退職金についてお話します。
理事長先生の退職金は、これまで苦労されてきたご自身とご家族が、
勇退後も豊かな暮らしをするために、
そして医業承継や相続を円滑で円満なものにするためには、
欠かすことのできない重要な資金源になります。
また、退職金は税制面で優遇されており、税負担が軽いのが特徴です。
このようなことを踏まえると、
できるだけ多く退職金を支給し、
否認されないように確実に受け取ることが重要なのではないでしょうか。
退職金に関して、最近税務当局が
特に注視しているのは"形だけの議事録"です。
実際に開催していないにもかかわらず、
開催したことにする行為は「偽装」にあたり
場合によっては重加算税の対象にもなりかねません。
退職金に関しては金額がいくらであろうと、
非常に厳しく見られるため、"形だけの議事録"を残すことは非常に危険です。
具体的な税務調査でのポイントは大きく以下の2つです。
①実際に社員を招集して開催しているか?
平成27年9月に成立した改正医療法により
社員総会議事録・理事会議事録の作成は義務となりました。
議事録には社員総会をした「日付」「場所」、さらには「出席者」などを
記載したが事実ではなかった場合、指摘されてしまいます。
医療法第48条の3第6項では、
「社員総会の招集の通知は、その社員総会の日より少なくとも5日前に、
その会議の目的である事項を示し、定款で定めた方法に従ってしなければならない。」
と定められています。
そのため、全社員がこの場にいるというケースを除くと、
「社員総会を今すぐ開催します」ということは基本的にできません。
②社員総会の議事録の内容が真実かどうか?
重要なポイントは、社員総会の議事録には医療法で定められた事項、かつ真実を必ず記載することです。
また、社員総会から10年間の議事録の保管が医療法で定められているため、注意が必要です。
実際に3億円の役員退職金が否認された事例をご紹介します。
本事例は一般法人の事例ですが、医療法人にも同様のことが起こりえます。
代表取締役社長が取締役会長になり、長男に社長を引き継いだケースです。
平成20年に役員退職金を支給してから、
4年後の平成24年に税務調査が入り、結果的に役員退職金全額が否認されました。
税務調査では、株主総会議事録は退職当時作ったが紛失してしまった、
新社長が退職金の額を知らなかった、取締役会は開催しておらず、
形式だけ議事録を作成した、等々の事実が明らかになりました。
役員退職金は否認されたため、
会社が支給したこの3億円は役員賞与と認定されてしまいました。
役員賞与は法人税法上、損金不算入ですので、
当時の法人税実効税率の4割の1.2億円が本税として、
そこに仮装・隠蔽があったとして重加算税が35%加算され、
さらには延滞税も含め、法人に合計で約1.8億円が追徴課税されました。
さらに、退職金を受け取った会長(前社長)個人は、
退職所得としての税額約6,000万円をすでに納税していましたが、
役員賞与となったため、実際には約1億5,000万円を納税する必要がありました。
そのため差額の約9,000万円が本税、これにも重加算税と延滞税がかかり、
合計で約1.4億円の追加納税をすることとなりました。
つまり、3億円の退職金を支給したはずが、
法人・個人で約3.2億円と、支給以上の額の追徴課税を受けてしまった、
という悲劇が起きたのです。
このように、退職金が否認されると高額な追徴課税が発生し、
場合によっては法人の存続および個人の生活を脅かす事態になる
といっても過言ではありません。
現在の法律では、申告書の提出期限から5年間(仮装隠蔽の場合には7年)を税務調査
の対象とすることができます。
つまり、忘れたころに税務調査が入る可能性があるわけです。
退職金に関して、日頃理事長先生より、よくお問い合わせいただく内容を小冊子にまとめました。
例えば、
Q:何を基準に退職金金額を考えればいいのか
Q:退職金を受け取った後、医師として診療を続けていても問題ないか
Q:出資持分を持ったまま退職すると退職金が認められないのか
このようなお問い合わせを12項目、
Q&Aの形にまとめた小冊子「理事長先生の税務調査と退職金Q&A」
をプレゼントいたします。
頒布は終了しました
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。