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2021年05月11日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは。宅地建物取引士の小佐々です。
近年の少子高齢化に伴い、一人暮らしの親が亡くなって空き家を相続した、
という事例も多くなっております。
そんな時、相続した物件を売却した際の譲渡所得から、
一定の額を控除できる制度をご存じでしょうか?
今回はその「被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例」についてご紹介します。
この特例は、被相続人の居住用財産(戸建てや土地)で
適用要件を満たすものを相続などによって取得し、
令和5年12月31日までに売却した場合に、
譲渡所得の金額から3,000万円を控除することができるという制度です。
(マンションなどの区分所有建物は適用外です。)
譲渡所得は通常、売却で得た金額から
取得時の費用と売却時の費用を差し引いて算出した金額(譲渡益)を、
いわゆる譲渡所得金額として課税の対象とします。
しかしこの制度を適用することで、
その課税対象金額から3,000万円を控除することができるため、
納税額を抑えることが可能となります。
主な適用要件としては、
① 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたこと
② 被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
③ 相続の開始から3年目の12月31日までに売ること
④ 売却代金が1億円以下であること
などがあり、ほかにも細かく要件が設定されています。
詳しくは国税庁のホームページをご参照ください。
特例を適用させた場合にどのくらい納税額が変わるのかご紹介します。
税率は20.315%とします。
ケース:相続した空き家付きの土地を5,000万円で売却したとき・
取得費を1,000万円、譲渡費用を500万円とします。
〈課税価格の計算〉
まずは、課税対象となる譲渡所得金額を算出します。
5,000万円-1,000万円-500万円=3,500万円
以上の式から通常の課税対象金額は3,500万円です。
続いて特例適用なしの場合と特例適用ありの場合を比較してみます。
・特例適用なしの場合
課税対象金額にそのまま税率を乗じます。
3,500万円×20.315%=711万250円
・特例適用ありの場合
課税対象金額から3,000万円を控除して、税率を乗じます。
(3,500万円-3,000万円)×20.315%=101万5750円
したがって、このケースでは609万4500円の譲渡所得税等が軽減されることとなりました。
いかがでしたでしょうか?
適用要件が細かく定められているので、
すべての相続財産が適用されるわけではありませんが、
要件を満たすことができれば非常に効果的な特例です。
もしこの制度を適用できそうでしたら、ぜひ一度ご確認してみてください。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。