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2022年08月02日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
税理士の島﨑です。
お客様に「相続時精算課税制度」はご存じですかと尋ねると、
大抵の方が名前は聞いたことがあるが内容までは知らないとおっしゃいます。
相続時精算課税制度は平成15年に創設されてから20年近くの時を経ていますが、
皆様になじみのある制度にはなっていないようです。
相続・事業承継においては重要な制度ですので今回あらためて解説させていただきます。
暦年(1月1日から12月31日)に受けた贈与額は、
基礎控除110万円を超える部分には贈与税が課されます。
相続時精算課税制度は、18歳以上の子が60歳以上の父母又は
祖父母から贈与を受けた場合に2,500万円までが非課税となり、
2,500万円を超えた部分に一律20%の贈与税が課税される贈与税の特例制度です。
ただし相続が発生したときには相続財産に含めて再計算します。
支払った贈与税は相続税の前払い的性格を持ちます。
また、相続時精算課税制度を選択すると、
その贈与を受けた関係において暦年贈与に戻すことはできません。
亡くなられた方のうち相続税の納税があった方は9%にも満たないそうです。
相続税には基礎控除などがあり、ほとんどの方が相続税の納税がないのが現状です。
しかしそんな方も生前に贈与をすれば受贈者には贈与税が課されます。
相続まで待てば税負担なく渡せるので生前に贈与はしません。
そこでできたのが相続時精算課税制度です。
この制度を使えば次の世代に贈与がしやすくなります。
そして贈与を受けた次世代がその資金を活用することによる経済活性化がこの制度の趣旨です。
相続時精算課税制度においては、
相続時に税額計算に含める生前贈与した財産の評価額は贈与時の評価額となります。
株価が下がったタイミングで相続時精算課税制度による贈与をすれば、
相続時にはこの低い評価額で相続税の計算がされます。
つまり、株価を固定することができるのです。
相続時に株価が上昇していればいいのですが、
逆に下がっていた場合には贈与時の高い評価額での課税となりますのでご留意ください。
そして対税務署として、株価を下げて株を移動したのではなく、
株価が下がったタイミングで株を移動したという主張が必要になります。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。