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2014年10月06日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、経営者保険プランナー、相続診断士の佐藤です。
今回は「財産よりも借金が多い場合の相続」について事例をご紹介します。
オーナー経営者は、会社の借入の連帯保証人となっていることが多く、
社長の家族は、相続が発生してはじめて
亡くなった社長に借金があった事実を知るケースもあるようです。
【三田社長(62歳のケース)】
京都の和菓子屋を経営する三田社長。
先代は3カ月前に亡くなりましたが、
先日銀行から連絡があり、
先代に大きな借金があったことがわかりました。
借金の額は、残された財産の額よりも大きかったため、
三田社長は、相続を放棄しようと考えました。
(相続放棄の意思表示をするとすべての財産を引き継がないことになるので、
借金を引き継ぐことは無くなります。)
「手元には何も残らないが、借金を返す必要もなくなるし、
これがベストな方法だろう。」
そう考えていた矢先、先代の遺品のなかから生命保険の証券が見つかりました。
受取人は三田社長で、保険金は3,000万円と書かれてあります。
三田社長は、自分のことを考えて保険に入っていてくれた
先代の気持ちをありがたく思いました。
ただ、先日相続のことを相談した弁護士からは
「相続を放棄すれば他の財産も一切受け取れない」と聞いています。
「この保険金も、おそらく受け取れないのだろう・・・。」
ところが、三田社長は相続放棄をしたにも関わらず、
先代の残した保険金を全額受け取ることが出来ました。
これは一体どういうことなのでしょうか?
実は、生命保険の保険金は、受取人の固有の財産とされており、
相続放棄をした人でも受け取ることができるとされています。
また、相続を放棄したとしても相続税の基礎控除
( 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数)は適用されるため、
この金額の範囲内であれば受け取った保険金に対して税金はかかりません。
※ただし、相続放棄をした場合、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)
は使えなくなります。
以上のように、三田社長は借金を相続せずに、
先代が残してくれた保険金だけを受け取ることが出来ました。
この保険金がなければ、一切の財産を受け取ることが出来なかったわけですから、
その後の状況も大きく変わっていたことでしょう。
借金のあるなしに関わらず、
決まった額のお金を、決まった人に残してあげることができるのは
生命保険にしかないメリットです。
またこのようなことをふまえた事前の対策が、
残された家族にとっての大きな助けとなることもあるでしょう。
社長に万が一のことがあっても、
ご家族が安心してその後の生活を送れるように、十分な配慮が大切です。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。