最新の投稿
アーカイブ
2014年10月02日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、経営者プランナー、相続診断士の佐藤です。
さて、優良企業と呼ばれる会社では、
年々自社株の価格が高くなる傾向があります。
株価が高いということは、
会社の評価が高いということであり素晴らしいことです。
しかし、このような会社で万一社長が突然亡くなってしまった場合、
評価の高くなった自社株を含めて社長の財産を相続した子どもが、
相続税の支払いができずに苦労するケースがあります。
今回はこのような場合に有効な「金庫株」についてご紹介します。
【金庫株とは】会社が取得し保有する自己株式のことをいいます。
(平成13年に商法改正で自己株式の取得と保有が自由化されました。)
【本田社長(51歳)のケース】
精密機械製造の会社を営む本田社長。
5年前に、創業者である父から経営を引き継ぎました。
経営権は本田社長に移ったものの、
評価が高くなっていた自社株は一度に社長に移すことができず、
大半は会長が保有したままになっていました。
「会長はまだ年齢も若いし、
株の移転はこれから少しずつやっていけばいいだろう・・・。」
ところが思わぬことに、それまで病気ひとつなく元気だった会長が突然倒れ、
帰らぬ人となりました。
会長の遺言には、会社の株は全て本田社長に相続させると書いてありましたが、
遺言通りに全ての株を社長が引き継ぐためには相当な相続税の支払いが必要です。
しかし、会長が残した資産のほとんどは自社株と不動産で、
現金はほとんどありませんし、
社長の手元にある資金だけでは相続税の支払いは不可能です。
そこで、本田社長は金庫株の活用を検討することにしました。
金庫株が活用されることが多い代表的なケースは、
後継者の納税資金準備です。
後継者が相続した自社株を会社に買い取ってもらい株を現金化することで、
相続税の納税資金や他の相続人への代償分割の財源を確保することができます。
本田社長のケースでも、会社に支払われた先代の死亡保険金を財源として、
会社に株を買い取ってもらうことができたため、無事に相続税を支払うことができました。
以上のように、金庫株の活用には自社株の分散や親族間の遺産分割トラブルを
未然に防ぐというメリットが存在します。
しかし、この金庫株はどんな場合でも使えるというわけではありません。
例えば、会社が保有できる自己株式は、
分配可能額(利益剰余金)の範囲までと決められていますので、
現金に加えて、会社の剰余金が十分あるかどうかが重要になってきます。
本田社長の会社では、会社に支払われた先代の保険金を益金計上し、
分配可能額を拡大させることができ、
上記のような金庫株を活用した対策が可能となりました。
本田社長のケースでは、金庫株を活用することで、
相続税の支払いの問題等の課題を解決することができました。
しかし、当たり前のことですが、
会社に十分な財源がなければこのような方法を検討することはできなかったでしょう。
相続はいつ発生するかわからないもの・・・。
不測の事態に残された後継者を苦しめないためにも、
会社で加入している保険の状況など、万一のリスクがしっかりカバーできているかどうかを
日頃から確認しておくことが大切です。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。