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2015年03月09日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは!経営者保険プランナー、相続診断士の上田です。
季節の変わり目に吹く風には、「匂い」があるように感じませんか?
この頃は日ごとに暖かくなり、
風が吹くたび、春を感じてウキウキしています。
春と言えば、卒業や入学など環境が変わり
心機一転、何かにチャレンジする季節。
今年は実家暮らしで慣れていない料理を
すばやく・おいしく作れるように、練習を重ねたいと思います!
さて、後継者不在に悩む企業が多い一方で、
社長に複数のお子さんがいるために将来の事業承継・相続を
心配されている方もいらっしゃるようです。
本日のブログでは、そんなある法人様からの
ご相談事例についてお話しいたします。
A社は、80年続く食料品輸入会社。
中堅ながら、業界ではパイオニア的な会社として知られています。
社長は今年で70歳になりますが、現役で体力の続く限りは
社長業を続けたいと言っています。
社長には3人のご子息がいらっしゃって、
現在は役員として経営に携わっています。
今回ご相談をくださったのは社長と血縁関係はないまでも、
長年A社の経営を番頭として支えてきた役員のSさん(68歳)でした。
「社長の3人の息子は、立派に育って活躍してくれています。
これからも互いに協力しあって会社を成長させてくれるよう期待をしているのですが・・・。
ただ、社長ももう高齢です。
社長は長男を後継者と決めているようですが、
明確な事業承継の時期は明確にはしていません。
また、社内には社長の次男や三男を慕う社員も多く、
万一社長が突然亡くなるようなことがあれば、
後継ぎ問題でひと悶着あるのではないかと心配です。
今のうちから対策しておけることはないのでしょうか。」
Sさんからのご相談は、社長が亡くなったあとの会社の将来を憂慮してのことでした。
「後継者がいない会社もたいへんですが、
子供がたくさんいても心配はつきないものですね。
世の中、なかなかうまくいかないものです。」
そうおっしゃるSさんに対して、わたしたちは、
次の2つのことを社長に提案してみてはどうかとお話ししました。
①社長が3人の息子と個別に話をする機会を設けてもらい、
長男を後継者とすることと、事業承継の時期を明確に伝えてもらう。
また、次男、三男に対しては、今後会社の経営でどのような役割を期待しているか
社長の思いを伝えてもらう。
②長男が後継者となっても、それ以外の2人と不公平感が出ないよう、
社長が亡くなったとき、3人が同額の現金を受け取れるように保険で準備をしておく。
(社長に万一があったとき、3人とも保険金として2億円を受け取れる終身保険に加入。)
②のような対策をとっておくことで、
後継者である長男は保険金を相続税の納税資金として活用できますし、
後継者以外の2人に対しては、将来的に会社を離れることになったとしても
困らないだけの蓄えを残してあげることができます。
社長は番頭のSさんの想いを汲んで、
子供達に今後のことについてきちんと話をする機会をとってくれたそうです。
それから3年後、社長は会長になり、長男が後継者として社長業を引き継ぎました。
A社とはその後もお付き合いをいただいていますが、
新しく社長に就任されたご長男からは、後日こんな風におっしゃっていただきました。
「3年前あのタイミングで会長の口から
直接今後の経営について話をしてもらえて本当によかったです。
同じことを次男と三男に伝えるとしても、
私が話すのと創業者である会長が直接話すのでは印象が全く違っていたはずですから・・・。
おかげで兄弟間の仲がぎくしゃくすることもなく、
スムーズに事業を引き継ぐことができました。
あのようなきっかけを作ってくれて本当に助かりましたよ。」
相続は一生に一度。
経験のないことへの対策を事前に検討するのも大変です。
ただ、今回の事例からは後継者や子どもたちがどうなるかを考えて先を見据えた策を講じ、
社長自身から後継者達へ
「将来こうしてほしいと願っている」という想いを伝えることが、
円滑な事業承継の成功の秘訣なのだと考えさせられました。
また、事業承継の問題は当人同士ではなかなか話が進まないということもあります。
A社の事例のように、時には周囲が積極的な働きかけをしていくことも、
事業承継の解決に有効なことなのかもしれません。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。