それなりの規模の病院を経営されて、地域医療にも貢献しているというK理事長。
引退された後も、病院を残したいと考えていた。
ところが、身内に後継者がいないので、結局、第3者へ譲り渡すことになりそうな気配だという。
理事長としては心配事も多いらしく、進める上での注意点を知りたいとのことだった。
譲渡スキームと譲渡価額の検討が必要
第三者への譲渡の場合、売買や合併等のスキームにより税額が異なり手許に残るキャッシュも変動する。
ゆえに専門家を交えた詳細な検討が必要だ。
第三者への譲渡の場合、個人の所得税、住民税が課税されるが、資産の種類により税率や課税方法は様々である。
また、合併の場合は医療法人に課税されるケースもあるので、譲渡価額の算定やスキームには慎重な検討が必要であろう。
譲渡による税制の概略
次に、譲渡による税制について概略を記載する。
1.売却による税金
病院を売却する場合、資産の種類毎に以下の税率による譲渡益課税が所得税、住民税について生じる。
①土地、建物…所有期間5年超は約20%、5年以下は約40%
②医療用機器、設備等…所有期間5年超は譲渡益の2分の1に対して約15~50%、
5年以下は約15~50%(いずれも他の所得と合算されて税率は変動する)
③医療法人の出資持分…約20%
④退職金…所得の2分の1に対して約15~50%(他の所得と合算されない)
2.合併の場合
医療法人同士の合併の場合、資産の移転は原則として時価による譲渡として医療法人において譲渡益課税の対象となるが、一定の要件を満たすことにより、簿価による譲渡として課税を繰り延べることが可能だ。
今回のケースは、弊社が間に入って交渉を進めることになった。
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