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『「最後の仕事」その4』ヒューマンネットワーク・メールマガジン(通号286号)

メルマガの一部を公開しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018/4/25号 ━━━━

 日本全国11,047人の経営者へ配信中!
 オーナー経営者の事業承継・相続対策・税金対策・退職金準備など
 経営課題解決を応援するメールマガジンです!


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 ■□■経営に役立つ書籍から■□■


 『相続の6つの物語』本郷 尚 著 
 日本経済新聞出版社刊(全国書店で販売中)より転載しています。
 https://www.amazon.jp/dp/B01KA008TC/

 ※弊社提携先、株式会社タクトコンサルティング会長で税理士の
 本郷 尚先生のご厚意により、著作を掲載いたします。
 長い物語ですので、数回に分けてお届けします。
 保存しながらお読みくださいますと幸いです。

 今までの配信分は、こちらをご確認ください。
 
 その3
 https://www.humannetwork.jp/mailmagazine/2018/04/285.html
 その2
 https://www.humannetwork.jp/mailmagazine/2018/04/284.html
 その1
 https://www.humannetwork.jp/mailmagazine/2018/04/283.html


 「最後の仕事」その4

 琴音は和夫を呼びつけて、社長を解任すると伝えた。
 「なぜだ!母さんといえどもそんな無礼は許せない」
 顔を真っ赤にして怒鳴り散らす和夫に、
 3年間の業績と和夫が起こしたトラブルの記録を黙って差し出した。
 
 その中には、会社の経費として計上されていた和夫の飲食代やゴルフ代、
 海外旅行費用なども記されていた。
 「これが理由です。恥ずかしいと思いなさい」
 
 和夫は眼を血走らせて書類に目を通すと、ぐったりと椅子に座りこんだ。
 「汚いよ、母さん。経営を任せると言いながら、
 ずっとスパイしていたんだな。
 山根のヤツが手先だろう、あいつ、首にしてやる」
 顔を歪めて吐き出すように言った。
 
 「何を勘違いしているの。社長には社員の生活を守る義務があるのよ。
 それができなくて何が社長ですか。
 あなたがこんな態度では社員にも示しがつきません。
 山根さんを首にする?冗談じゃないわ、
 あなたよりずっと能力がある人ですよ。社員のことは私が決めます」
 
 琴音が一歩も引く気がないとわかると、今度は泣き落としにかかった。
 「私は会社を継ぐために大学を辞めたんですよ。
 賃貸ビル市場は不況だし、社員は言うことを聞かない。
 ストレスで体調も崩してしまったんだ。私は、母さんと会社の犠牲者ですよ。
 その上社長を下されたりしたら、家族に何と言えばいいんですか。
 こんな恥辱を受けてはとても生きていけない・・・」
 
 追いつめられて青ざめた和夫を見て、琴音もさすがに胸が痛んだ。
 「わかったわ。社長の肩書は残しましょう。
 でも、今後すべての決断は私がします。それでいいですね。」
 和夫は交換条件に報酬の増額を要求した。
 
 琴音はその図々しさに呆れ果てたが、
 渋々150万円から200万円に増額することを認めた。
 とにかく経営から和夫を外すことが先決だ。
 琴音の報酬を引き下げ、和夫の報酬を引き上げた。
 琴音は会長、和夫は社長という肩書はそのままである。
 
 琴音が戻り、会社の評判や業績は徐々に回復していった。
 和夫はふてくされたのか、会社に来たり来なかったりしていたが、
 もう誰も気にするものはなかった。それほど存在感が薄かった。
 
 それにもかかわらず、
 和夫は1年も経たないうちにまたも報酬の増額を要求してきた。
 理由を聞いて琴音は愕然とした。自分勝手な上に支離滅裂だ。
 
 「弟たちは年収が高い上に、役員報酬までもらっている。
 私は長男だし社長なのだから、弟たちより高い年収であるべきだ。
 琴音が無視していると要求はエスカレートしていった。
 
 「いずれ私が会社を継ぐのだから、母さんの持ち株を先に譲ってほしい。
 贈与でも売買でもかまわない。
 万が一、私が先に逝ったときのために、
 私の家族に相続させるという遺言書も書いておいてもらいたい。」
 
 そして、「時間がない、早く決断してくれ」と言い募る。
 弟たちにも持ち株を譲るよう迫っていたらしい。
 兄の強引さに呆れて、弟たちも距離をおいて寄りつかなくなった。
 
 琴音は、夫の「兄弟平等で仲良く」という希望から
 どんどん遠ざかっていくのを寂しく悲しく思った。
 このままでは自分の死後も兄弟で争うことになるかもしれない。
 
 
 和夫が強引に給料の増額や持ち株の譲渡を迫った理由がわかったのは、
 それから2年半後だった。
 和夫はがんに侵されていた。
 
 自分の命が短いことを悟った和夫は、
 生きているうちに家族の将来を安定したものにしたいと必死だった。
 そして、懸命に生きた。
 
 入院してからは日に日に弱っていった。
 あるとき、付き添っていた琴音の手を握り、すがるような目をして訴えた。
 「母さん、妻と息子に母さんの株を贈与してください。
 これだけは頼む、最後の頼みです」
 
 母としての感情と、会社の代表としての責任がせめぎ合い、
 何も答えられないまま悄然と病院をあとにした。
 今後のことも考え合わせ、
 夫が信頼していた税理士の城所陽平に一切合切を打ち明けた。
 「私はもう、どうすればいいのかわからなくなりました」

                    続く


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 著者 本郷 尚(ほんごう たかし)氏
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 税理士。株式会社タクトコンサルティング会長。
 不動産活用、相続、贈与、譲渡など資産税に特化した
 コンサルティングを展開。
 また、著書やセミナー等のあらゆる機会を通じて、
 相続対策の新しい考え方の普及にも力を入れている。

 昭和48年税理士登録。
 昭和50年本郷会計事務所開業。
 昭和58年株式会社タクトコンサルティング設立。
 平成15年税理士法人タクトコンサルティング設立。
 平成24年株式会社タクトコンサルティング会長に就任。

 「こころの相続 幸せをつかむ45話」、
 「改訂新版 がんばれ大家さん!」、
 「不動産M&A入門」他、著書多数。


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