2020年03月20日 ※税法上の取扱いについては、左の日付時の税制によるものです。
資産を贈与する方法には暦年贈与と相続時精算課税制度を利用する方法がありますが、
相続までにある程度の時間があるのなら、
暦年贈与を使ってゆっくり資産を移転していくのが有利です。
暦年贈与とは、毎年、少しずつ資産を贈与していく方法です。
暦年贈与の場合、年間110万円の基礎控除がありますから、
それ以内の贈与であれば贈与税はかかりません。
仮に110万円の贈与を毎年繰り返していけば、
10年で1100万円、20年では2200万円を無税で贈与することが可能です。
基礎控除は贈与を受ける人、一人ひとりに適用されますから、
子どもが3人いれば、10年間で3300万円を無税で贈与できることになります。
問題は、毎年贈与をしていった場合に
税務署に否認される可能性がゼロではないということです。
110万円を10年にわたって贈与した場合に
「最初から1100万円贈与するつもりではなかったのですか」
という指摘を受ける可能性があるのです。
となると、1100万円を一度に贈与したとみなされ、
その分の贈与税を納めなければなりません。
2015年から祖父母や父母から子や孫に贈与した場合には、
贈与税が優遇されるようになりましたが、
それでも贈与税の税率は低くありません。
贈与税を計算すると、(1100万円-110万円)×30%-90万円で207万円となります。
税務署から否認されることを避けるためには、一定の手続きをしておく必要があります。
一つのやり方としては、基礎控除を少し超える贈与を行い、
毎年、贈与税を支払っておくことです。
仮に120万円の贈与を行い、
申告をすると贈与税額は(120-110万円)×10%で1万円です。
10年続けても10万円の負担です。
毎年贈与税を支払えば、きちんと単年ごとに贈与を行った証拠が残りますし、
贈与税を支払うわけですから税務署も否認のしようがありません。
多少の贈与税は、否認されるリスクを避けるためのコストと割り切ってしまってもよいでしょう。
また、未成年の子どもに贈与をする場合、
子どもの自立を防げるのではないかという心配をする方もいますが、
贈与の事実を本人に伝えないのはだめです。
そうすると暦年贈与が否認されてしまうこともあります。
未成年の間は親が管理していても問題はありませんが、
成人するころになったら、贈与の事実を伝え、
本人に資金を管理させるべきです。
いつまでも親が管理していた場合、これも税務署に否認される可能性があります。
この場合、贈与ではなく、
親が子どもの名義で勝手に預金していただけと見なされるのです。
これを名義預金といいます。
実は相続税の税務調査でもっとも数多く指摘されるのがこの名義預金です。
国税庁が公表している「平成25事務年度における相続税の調査の状況について」
を見ても税務調査で指摘された相続財産の金額のうち最も大きいのが
「現金・預貯金等」で1189億円(平成25事務年度)となっています。
このうちの多くが名義預金だと推測されます。
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