2020年04月15日 ※税法上の取扱いについては、左の日付時の税制によるものです。
相続時精算課税制度とは、2500万円までの贈与であれば
贈与の時点で贈与税を支払う必要のない制度です。
贈与した金額は相続が発生した際に相続財産と合算して相続税を計算します。
いってみれば相続財産を先取りできる制度です。
最大のメリットは、相続まで待っていると
相続税評価額が上がってしまう資産を早めに贈与して、
低い相続税評価額で相続税を計算できることです。
これは自社株の贈与にも有効です。
自社株の相続税評価額は業績によって大きく変わります。
業績が順調なら自社株の評価額も右肩上がりで上昇していきます。
相続が発生した時点では莫大な評価額になっていることも十分にありえます。
そこで評価額の低いうちに相続時精算課税制度を使って
一気に贈与してしまう方法があります。
贈与税の負担なしで贈与が可能な金額は2500万円までですが、
それを超える贈与も可能です。
2500万円を超えた分に関しては20%の贈与税をいったん負担しますが、
支払った金額は相続の際の相続税から差し引くことができますので、
トータルの税額が増えることはありません。
このように相続時精算課税制度とは、
相続税評価額という、時価よりも低い金額で資産を移転する方法ですから、
"安く仕入れて高く売る"という使い方もできるのです。
その秘訣は事業用資産の買い換え特例にあります。
実際にあった例を紹介しましょう。
医師のケースですが、長男も医師として、
将来、病院を開く計画がありました。
しかし、開業資金が足りません。
これから立ち上げるので、銀行から融資を受けることもできないのです。
そこで相続時精算課税制度を使って、
親が所有している駐車場を長男に贈与しました。
長男はこの駐車場を売却し、その資金を病院の開業資金に充てたのです。
結果的に事業用資産の買い換え特例を使うことができたので、
駐車場の売却益に対する税金を軽減することができました。
このケースは非常に複雑な仕組みを使っているように見えるかもしれません。
裏ワザ的で税務署に否認されるリスクが高いのではないかと感じるでしょう。
しかし、相続時精算課税制度そのものが
相続する資産を先に受け取るという制度ですから、
節税だけを目的としたものではありません。
ですから、このケースのような手法は租税回避行為にはなりません。
当然、このケースも認められました。
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