2020年04月23日 ※税法上の取扱いについては、左の日付時の税制によるものです。
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。
では、贈与金額は、「基礎控除の範囲内」がベストなのでしょうか。
こんな事例がありました。
妻と長男がいるY社長は、10年前から長男に毎年現金120万円を贈与しています。
贈与の税率は200万円以下10%(現税制)なので、
贈与税の負担は年間約1万円と、少ない金額で済んでいます。
50歳から贈与を始めたにもかかわらず、
10年間で移せた財産は合計1200万円(税負担10万円)です。
Y社長は10年後に予定している事業承継までの間に、
合計5000万円ほどの現金を贈与しておきたいと考えていますが、
このままのスピードだと、予定の金額に届きそうにありません。
そこで、Y社長は贈与の金額を見直すことにしました。
1年間に贈与する金額を増やすことで、
より短期間で多くの財産を長男に移せるようにしたのです。
具体的には、これまで120万円ずつだった贈与額を、
年間500万円に引き上げました。
500万円の贈与を行うと、基礎控除分を除いた金額の税率は15%なので
控除額を除いた贈与税は48万5000円。
10年間では5000万円の財産を移せます。
贈与税の負担は10年間の合計で485万円となります。
Y社長は贈与の金額を見直したことで、
基礎控除の範囲に近い贈与よりも、
格段に早いスピードで資産を移転することが可能になりました。
2015年の贈与税の改正で父母や祖父母などの直系尊属から、
20歳以上の子や孫に対する贈与には特例税率が適用されるようになりました。
基礎控除の額にこだわらずに贈与金額を検討することで
より有利な資産移転ができるようになります。
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