2020年07月07日 ※税法上の取扱いについては、左の日付時の税制によるものです。
相続税対策には色々な方法がありますが、
最もシンプルなのは相続が起きる前に
財産を子どもや孫たちに移しておくものです。
そこで、相続ではなく「贈与」を活用した財産の継承が注目を集めています。
贈与税は、2015年度の税制改正で最高税率が55%まで上がりましたが、
600万円超1500万円以下の贈与については減税となっています。
また、計算体系が二分化されたのも大きな変更点です。
これにより、20歳以上の子や孫が、親や祖父母から贈与を受ける場合は、
一般の贈与に比べて税制が優遇されることになりました。
政府は、贈与税の改正が、親子間での資産移転の促進や
経済の活性化につながることを期待しているようです。
しかし、いくら有利な条件で贈与できたとしても、
子どもたちが早々に散在することがあれば元も子もありません。
また、子どもが無駄遣いをしないように......と、
親が子ども名義の通帳を管理していれば、
「名義預金」とみなされ相続税の課税対象とされるおそれもあります。
そこで、このような生前贈与の諸問題を解決し、
次世代に有利に資産を残す方法として、生命保険が採用されています。
生命保険を活用した贈与では、
子どもが契約者、親が保障の対象(被保険者)となる終身保険がよく利用されます。
子どもは、親から贈与を受けたお金で保険料を支払い、
親が亡くなったときには、死亡保険金を受け取ります。
親が契約者として加入すれば、
子どもが受け取った保険金はみなし相続財産として相続税がかかります。
しかし、子どもを契約者としておけば、
親が亡くなったときの死亡保険金は、一時所得扱い
(支払い保険料の総額と死亡保険金の差益に対して、最高税率25%の総合課税)となり、
相続税よりも税金の負担が少なくて済むというメリットもあります。
また、不動産や自社株など換金性の低い財産と違って、
保険はすぐ現金が受け取れるため、
納税資金として活用しやすいのもよいところです。
相続税は、被相続人が亡くなった日の翌日から原則10カ月以内に
現金で一括納付する必要がありますが、
子どもに潤沢なキャッシュがあれば支払いはスムーズです。
なお、子どもが受け取る死亡保険金は、
その他の相続人への代償分割資金としても活用できます。
相続が発生したときに、関係者間で不公平感を生じさせないための対策として
有効であるといえるでしょう。
保険活用に限りませんが、
節税には税制改正によるリスクが存在します。
かつて生命保険を活用した相続対策で数多く利用されていたのは、
相続税法24条「定期金に関する権利の評価
(年金受給権に関する権利の評価)」を使ったものです。
この税制は10年度の税制改正で変わりましたが、
改正前は、次のようなメリットがありました。
高齢の被相続人が保険契約者になり、一時払いで保険料を支払います。
相続人(被保険者かつ年金受取人)が年金の受給を開始すると
年金受給権の贈与を受けたとされます。
仮に、保険料1億円を払い込み、
確定年金として受け取る年金保険の契約をした場合、
年金開始後に被相続人が受け取る総額1億円は2000万円の評価となり、
結果、8000万円もの評価減ができたのです。
この税制は何年にもわたって改正の噂がありましたので、
改正が発表されると「やっと改正されたか」という感じでした。
そんな中で「保険活用のメリットは魅力だが、
税制改正が心配で契約に踏み切れない」という人も多くいましたが、
このプランに加入して、年金開始前に税制が改正となってしまった場合でも
年金は確実に受け取れます。
贈与税の評価減は使えなくなったとしても、
その点は変わらないのです。
税制はいつまでも変わらないという保証はできません。
ただし、税制を活用した対策が税制変更で使えなくなっても、
その間、保障機能があり、解約返戻金が約定されている生命保険であれば、
損失が発生するリスクは低いでしょう。
保険会社へ支払った保険料の多くが回収できる商品であれば、
さらにリスクは軽減できます。
仮に税制変更で節税の効果が薄れてしまったとしても、
保険としては効果はなくなることがないのが生命保険を使った対策なのです。
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