2020年11月11日 ※税法上の取扱いについては、左の日付時の税制によるものです。
中小企業の事業承継が成功するか、あるいは失敗するか、
それはオーナー経営者だけの問題ではなく、日本全体の課題にもなっています。
事業承継がうまく進まず廃棄に追い込まれる企業が増えれば、
そこで働く従業員の雇用が奪われます。
日本経済にとっても大きな痛手になりかねません。
そこで政府は、スムーズな事業承継をサポートするために、
「事業承継税制」を設けています。
この制度を利用すると、自社株を後継者に贈与しても、
贈与の時点で贈与税を支払う必要がないのです。
さらに、メリットでもありデメリットでもあるのですが、
贈与時の株価で固定できます。
株価対策と組み合わせて、低い株価の時に移転すれば無税で、
低い株価で贈与することが可能となります。
その後、相続が発生した際には、
贈与した自社株も相続財産に組み込まれますが、
評価額は贈与時点のものとなります。
その後に評価額が上がっていても、過去の低い評価額で計算することが可能です。
また、一定の条件を満たせば、相続税の支払いも免除されます。
このように、事業承継においては、非常に有利な制度です。
しかし、条件が厳しいため、実際に利用するケースは限られていました。
それが、2015年1月の改正で条件が緩和され、
更に平成30年度税制改正では、
10年間の特例措置として抜本的な見直しが行われた特例制度が創設されました。
たとえば、事業承継後の雇用は8割以上を5年間、[
毎年維持しなければなりませんでした。
一時期に雇用条件を守れなかったために、
適用から外れてしまうことも少なくなかったのです。
そこで、平成30年度税制改正の特例措置では、
要件を満たせない理由を記載した書類を
都道府県に提出すれば継続されるようになりました。
また、経営者は株式を贈与した時点で役員を退任しなければなりません。
しかし、中小企業の場合には、
経営者の人間関係や営業能力に会社が支えられている面も大きいので、
早期に経営者が引退をしてしまえば、業績に悪影響を及ぼすこともあります、
そこで、代表者を退任しても、役員として残ることができるようになりました。
親族内に後継者がいない場合、親族外への事業承継をするケースも増えています。
以前は後継者が経営者の親族でなければ優遇制度が利用できませんでしたが、
現在は、親族外の承継でも優遇制度が利用できるようになりました。
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