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2016年07月25日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、東京会計パートナーズの中山です。
6/24のブログでは、「信用出資」を使った対策をご紹介しました。
6/24のブログ(https://www.humannetwork.jp/blog/20160624.html)
今回は、ある経営者が実践した自社株対策をご紹介します。
創業者である父が株式会社を設立した頃は、発起人が最低7人必要でした。
このため友人に名前だけ貸してもらい、株主になってもらいました。
お金を出していないので、いわゆる名義株です。
創業者が亡くなり、名義株であるという承諾書への署名をお願いしたところ、
かつて業績の良い時に高額な配当を出していたこともあり、
本当は名義株でしかないのですが、
実質的な株主であると主張し、署名に応じてくれません。
買い取り交渉もしますが、うまくいきません。
このままでは将来、譲渡承認請求や株主代表訴訟を起こされる可能性があります。
そこで、定款変更して、株主に相続が発生した場合に、
相続人から強制的に買取できるようにしたいのですが、
特別決議には親族株主である伯父の同意が必要で、
なかなか協力が得られずそのままになっていました。
この経営者はいろいろと勉強していくうちに、
持分会社の法定退社という規定に目が留まりました。
そこには8つの事由で法的に社員(持分権利者)を
退社させることが出来るとあります。
事由の中に社員の死亡、後見開始の決定があります。
株式は死亡により承継されてしまいますが、
持分会社の持分は相続人に引き継がれることはありません。その人限りです。
ただし、遺族は社員の地位は引き継げませんが、
持分の払い戻しを受けることはできます。
そこで、株式会社と同様にすべての社員が有限責任であり、
株式会社と何ら変わらず株主の同意が得やすい「合同会社」へ組織変更します。
総株主の同意が必要というハードルはあるものの組織変更することで、
今後相続でネズミ算式に株主が増えてしまうリスクを抑えることが可能になります。
さらに組織変更する際に、
定款変更のときには総社員の同意から
株式会社と同じ総議決権の3分の2以上と変更して、定めておきます。
そうすることで合名会社・合資会社への会社の種類を変更することも
容易にできるようになります。
本来、資本と経営を別に考える株式会社の仕組みは、
実質は資本と経営が一体の中小企業にとって
何かと使いづらいことが多くなっています。
それは事業承継の場面で顕著になります。
資本と経営を一体と考える持分会社の方が、いろいろと融通が利き、
上手に活用することでスムーズな事業承継が可能となります。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。