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2021年10月07日 ※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。
こんにちは、経営者保険プランナーの橘田です。
一人医師医療法人の理事長は、経営と診療を同時に行わなければなりません。
患者は、理事長の治療を求めて来院されるため、理事長無くして経営は立ち行かないと思います。
ところで、コロナ禍において、"もし、理事長自身に万一があったとき、
家族はきちんと相続税を負担することが出来るのか"というご相談をいただく機会が
増えています。
相続税の納税資金財源として、多くの医療法人では、
理事長を保障の対象とした生命保険に加入しております。
理事長の万一の際には、その保険金を医療法人が受け取り、それを死亡退職金として、
理事長のご遺族に支給することで財源とするケースがほとんどです。
しかしながら、医療法人で生命保険に加入していた場合でも、
1人医師医療法人の場合は、「死亡退職金支給がスムーズにいかない」場合があります.
今回のブログでは、そのような場合に直面した事例を紹介します。
56歳T理事長のケースをご紹介します。
・診療科目:外科医
・クリニックに医師は理事長のみ
・奥様・お子様はクリニックに関わっていない
・法人契約の生命保険:約2億円
・「脳梗塞」と診断を受け、手術後に亡くなってしまった。
「T理事長が被保険者の生命保険に、2億入っているのだから、その中から
死亡退職金も支払えるだろう」
とお考えになる方が多いのではないでしょうか。
しかし、保険会社では、
「死亡保険金受取人=法人」のご契約の場合、保険金を支払うために必要な書類・
条件があり、満たせない場合は、保険金がすぐには支払われないのです。
実際、理事長に万一が起きた際、下記のような手続きが必要です。
【医業継続の場合】
後継者になる医師を選定し、新理事長の登記を進める
【医業継続しない場合】
解散に向けて手続きを進め、解散と清算人の登記を進める
また、法人が保険会社から保険金の支払いを受けるためには、
保険会社へ「保険金請求内容確認書」等の書類の提出が必要です。
その書類の中には、新理事長、もしくは精算人の自署が必要、
というケースがほとんどなようです。
そのため、「登記後」の申請が必要となります。
医療法人の場合、代表者である理事長は原則、医師または歯科医師に限定されるため、
後継者になる医師を選定し、新理事長の登記を進めるのには時間を要すると思います。
また、精算人を事前に決定していた場合においても、
クリニックの借入金・スタッフへの退職金・精算にかかる費用等を考えると、
ご遺族へ死亡退職金の支払いが出来ないケースも考えられるのではないでしょうか。
残されたご遺族にとって、悲しみに暮れるなか、関わりが無かった医療法人の行く末を
決定したうえで、手続きを進めていかなければならないのです。
相続税の原資となる「死亡退職金」がスムーズに支払われない場合、
更に、金銭的な不安が追い打ちをかけることとなります。
しかし、相続税の申告期限は、
「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。
期限が過ぎてしまうと、優遇税制等を活用できなくなってしまいます。
事前にできる対策の1つとしては、
「死亡保険金受取人=被保険者のご遺族」という契約形態の保険を選択し、
【ご遺族へ直接保険金が支払われる仕組み】を準備することが挙げられます。
他には、生前に、理事長の職務代行者を設定し、
理事長が有事の際の代行者を設定することも、重要なのではなでしょうか。
上記の具体的な内容にご関心ある方は、下記お問い合わせフォームへ
【ご遺族へ直接保険金が支払われる仕組み】と記入し、ご返信ください。
お気軽にお問い合わせできるよう複数の窓口を用意しております。