保険料引き落とし口座を契約者以外の名義にしていると…

※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。

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こんにちは。サポート部の福島です。

奥様が契約者の生命保険について、
『保険料の引き落とし口座を御主人様名義の口座にしている』
といったことはよくあることではないでしょうか。

しかし、税制上での「契約者」とは名義上の「契約者」ではなく、
実際に保険料を負担した人、つまり「保険料負担者」のことをいいます。

そして、特別な事情がない限り、
口座名義人が保険料負担者とみなされることとなります。


今回のブログでは、契約者と保険料負担者が異なる生命保険契約において、
注意すべきことをお伝えいたします。

<目次>
・贈与税か所得税か、契約形態で異なる課税額
・生命保険料控除の適用
・おわりに

 

贈与税か所得税か、契約形態で異なる課税額


契約者が妻、保険料負担者が夫のときに注意すべき点としては、

(1)生命保険を解約し、契約者である妻に解約返戻金が入金された場合、
(2)満期保険金の受取人を妻とした場合

は、「贈与税」の対象となるということです。


妻が受け取った解約返戻金、満期保険金の原資(保険料)は夫が支払っているため、
妻に贈与されたとみなされ、贈与税が課税されます。


満期保険金は、契約形態(契約者(税制上の保険料負担者)、
被保険者、保険金受取人の関係)により、所得税か贈与税になるのですが、

贈与税は所得税に比べ税率が高いので、
解約返戻金・保険金は一時所得として受け取れるように
契約者と受取人は同一にした方が、
一般的に税制上は有利になります

 
上記の(1)(2)のケースでは、

(1)契約者を妻から夫に変更してから解約して、夫が解約返戻金を受け取る
(2)満期保険金の受取人を妻から夫に変更して満期日を迎え、夫が満期保険金を受け取る

と、所得税(一時所得)の対象となります。


なぜならば、夫は自分で保険料を負担し、

自分に解約返戻金、満期保険金が入金されているためです。

生命保険料控除の適用


また、課税関係以外では、「生命保険料控除」についても注意が必要です。

生命保険料控除とは、生命保険契約を締結して保険料を支払うと、
その支払保険料に応じて、一定の額がその年の所得から控除され、
その分だけ課税対象額が少なくなり、所得税と住民税が軽減されるというものです。


生命保険料控除の対象となる生命保険契約とは、
保険金などの受取人が「契約者本人または配偶者もしくはその他の親族」の契約で、
保険契約者と保険料負担者が異なる場合、
「保険料負担者」が生命保険料控除の適用を受けます。


契約者が妻であったとしても、夫が保険料負担者となっている契約に関しては、

夫の生命保険料控除の対象契約となりますので、ご注意ください。

 
なお、現在の制度(2012年以降の契約)では、控除は以下の3区分に分かれています。

  • 一般生命保険料控除(死亡保険・養老保険等)
  • 介護医療保険料控除(医療保険・がん保険等)
  • 個人年金保険料控除


それぞれの控除限度額は、
所得税で年間4万円(合計最大12万円)、住民税で年間2.8万円(合計最大7万円)です。


また、令和7年度税制改正の大綱によると、
23歳未満の扶養親族がいる子育て世帯を対象に、
新制度の一般生命保険料控除の適用限度額を
所得税で4万円から6万円へ引き上げる ことが盛り込まれています。

(※なお、3区分全体の控除限度額(所得税12万円・住民税7万円)は変更されない見通しです。)


この特例は 令和8年分(2026年申告分)に限る1年間の時限措置 となる見込みです。
是非この機会に、現在の支払い形態を一度見直してみてください。

おわりに


前述のとおり、税制上、「契約者」と「保険料負担者」は別概念です。
死亡保険金、満期保険金、解約返戻金を受け取るときに、想定外の課税とならないよう、
今一度、ご家族でお掛けになっている生命保険の契約形態を見直してみてはいかがでしょうか?


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