タトゥーがあると生命保険に入れない?加入制限の理由・最新の対応・告知義務まで徹底解説

※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。



こんにちは。ヒューマンネットワークの緒方です。


ここ数年、タトゥーに対する社会の見方は少しずつ変わりつつあります。
それでも、生命保険の加入時には「診査で断られるのでは?」
と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。


本記事では、タトゥーがあると生命保険の診査にどんな影響があるのか、
そして加入できるケースや注意点をわかりやすく解説します。

<目次>
1.“ファッション”と“リスク”のはざまで
2.なぜタトゥーがあると生命保険に加入しにくいのか
3.タトゥーを隠して加入するのはNG――告知義務違反のリスク
4.タトゥーがあっても加入できるケースはある
5.タトゥーを入れた後の「告知」と保険見直しのポイント
6.社会の変化と保険業界の今後
7.まとめ――タトゥーがあっても“備え”は諦めない
8.相談の一歩が“安心”を生む



1.“ファッション”と“リスク”のはざまで


海外では、タトゥーは自己表現や文化の一部として楽しまれています。
ビジネスパーソンやアーティストにとっても、もはやファッションやアイデンティティの一環です。


しかし日本では、依然として「反社会的」「怖い」といったイメージが根強く、
温泉やプールなど公共施設の利用制限にとどまらず、
生命保険の契約にまで影響を及ぼすことがあります。


実際、「タトゥーがあると生命保険に入れない」と
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし近年では、社会の価値観が変化しつつあり、
タトゥーがあっても加入を認める保険会社が増えています。


この記事では、タトゥーがあると生命保険の加入にどのような制約が生じるのか、
そして加入しやすくなる条件・注意点・最新動向まで、
専門的な観点から整理して解説します。


2.なぜタトゥーがあると生命保険に加入しにくいのか


タトゥーを理由に生命保険の診査が厳しくなる背景には、主に2つの理由があります。


(1)社会的背景

日本では歴史的に、「刺青=反社会的勢力」というイメージが長く残っています。
生命保険会社は暴力団排除条例に基づき、
反社会的勢力との関係を一切持たないよう徹底しており、
「モラルリスク(保険制度の不正利用)」を防ぐ観点からも慎重に判断します。


つまり、デザインや目的がファッションであっても、
診査段階で「モラルリスクを疑われる」ことがあるという点が、
加入を難しくしているのです。


💡モラルリスクとは
保険金や給付金を不正に受け取ろうとするなど、道徳的な危険のこと。
保険制度の信頼を守るため、保険会社はその可能性を極めて厳しくチェックします。




(2)感染症リスクなど健康上の懸念

タトゥーは、針で皮膚の真皮層にインクを注入する行為です。
そのため施術時の衛生環境によっては、血液を介して
B型肝炎・C型肝炎・HIV(エイズウイルス)などに感染するリスクがあります。


厚生労科学研究成果「タトゥー施術等の安全管理体制の構築に向けた研究」


厚生労働省や日本赤十字社でも、
タトゥーやピアスの施術後6か月は献血を控えるよう呼びかけており、
これは感染リスクが完全にゼロではないためです。


加えて、インクに含まれる金属成分などによる
皮膚炎・アレルギー・肝臓負担などのリスクも報告されています。

こうした医学的要因を踏まえ、
生命保険会社は「健康上のリスク要因がある」として
慎重に診査するのです。


3.タトゥーを隠して加入するのはNG
――告知義務違反のリスク

生命保険の申し込み時には、
「告知書」で健康状態や既往歴などを正確に申告する必要があります。


この告知義務は、保険法第55条で明確に定められており、
虚偽や未申告があると契約解除の対象になる可能性があります。


保険法第55条(抜粋)
被保険者が、故意または重大な過失により事実を告知しなかった場合、
保険会社は契約を解除できる。


「タトゥーがあると加入できないかもしれない」と考え、申告せずに契約した場合、
後日、入院や給付金請求時にタトゥーが判明すれば、給付金が支払われない
あるいは契約解除となるリスクがあります。


発覚のタイミングの例

  • 医師による診査(身体検査)でタトゥーが確認される
  • 保険金請求時にカルテ照会でタトゥー記載が発覚
  • 肝炎や皮膚疾患など、タトゥー起因の疾病で診断書に記載される


こうしたトラブルを避けるためにも、
加入時点で正直に申告しておくことが極めて重要です。


4.タトゥーがあっても加入できるケースはある

すべての保険会社が一律に「タトゥーがある人を断る」わけではありません。
近年では、社会的な意識の変化とともに、
個別の状況を考慮して柔軟に判断する会社が増えています。


(1)サイズが小さい・デザインが軽度な場合

指や肩などにワンポイント程度の小さなタトゥーであれば、
加入を認める保険会社もあります。
特に英語・幾何学・星や月などのファッションタトゥーは、
社会的リスクが低いとみなされやすい傾向です。


(2)和彫りではない・反社会的イメージがない場合

伝統的な和彫りや背中一面など、
反社会的イメージを連想させるタトゥーは診査が厳しくなります。
一方、欧米風デザインやアート性の高いものであれば、
診査通過の事例もあります。


(3)血液検査で異常がない場合

多くの保険会社は保障額が大きい場合、
タトゥーの有無にかかわらず血液検査を実施します。
肝炎や感染症の所見がなければ、リスクが低いと判断され、
条件付き(部位限定や保険金削減)で承認されるケースもあります。


(4)タトゥーが古く、健康経過に問題がない場合

10年以上前に施術し、その後健康上の問題がない場合は、
リスクが軽減されていると判断されることがあります。


5.タトゥーを入れた後の「告知」と保険見直しのポイント

(1)加入後にタトゥーを入れた場合は申告すべき?


基本的に、保険加入後にタトゥーを入れた場合でも、保険会社への申告を推奨します。

特に医療保険・がん保険など健康リスクに関わる契約では、
のちの給付時に「未申告」がトラブルの原因となり得ます。

ただし、告知書に「タトゥーの有無」が設問として明示されていない場合は、
個別対応となるため、担当者に相談するのが安心です。


(2)タトゥーのある人に向いている保険の考え方

  • 告知項目が簡易な保険(引受基準緩和型)
  • 共済・団体保険(タトゥーの有無を問わない場合あり)
  • 医療保険・終身保険の限定告知型


などが検討候補になります。
タトゥーがあることを理由に、すべての保険を諦める必要はありません。


(3)対面での申し込みがベター


ネット申込型よりも、対面契約(募集人との面談)を選ぶことで、
タトゥーの範囲・意図・健康状態を直接説明でき、誤解を防ぎやすくなります。


6.社会の変化と保険業界の今後

2020年代に入り、国内でもタトゥーの見方は確実に変わりつつあります。

観光庁による温泉施設のガイドラインでは
「タトゥーカバーの着用で入浴を容認」とする方針が浸透し、
若年層を中心に「ファッションタトゥー」への理解が広がっています。


厚生労働省「入れ墨(タトゥー)がある外国人旅行者の入浴に関する対応」


生命保険業界でも、反社会的勢力排除という本来の目的と、
多様な価値観を尊重する社会的要請との間でバランスを取る動きが見られることから、
今後さらに柔軟な引受基準が広がる可能性があります。


7.まとめ――タトゥーがあっても“備え”は諦めない

タトゥーがあるからといって、生命保険に絶対入れない時代ではありません。
確かに、社会的背景や感染症リスクという懸念から診査が厳しくなることはあります。

しかし、健康状態が良好でモラルリスクがないと判断されれば、
加入できる可能性は十分あります。

大切なのは、「隠さずに正しく伝える」こと。
告知義務違反は、将来的な給付拒否や契約解除につながるため、
タトゥーがある場合は必ず事前に相談・申告することが重要です。


✅ポイントまとめ

  • 小さなファッションタトゥーなら加入可能な保険会社もある
  • 血液検査や健康状態で判断が変わる
  • タトゥーを隠すと告知義務違反になるリスクがある
  • 対面契約で正確に説明することが望ましい
  • 加入後に入れた場合も、相談・申告を忘れずに


8.相談の一歩が“安心”を生む

タトゥーの有無だけで判断せず、
「どういう目的で入れたのか」「健康状態はどうか」を見る保険会社も増えています。
加入を検討する際は、専門の保険代理店やFPに相談してみましょう。

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