最終報酬月額を増やせば、退職金も増やせる…?

※税法上の取扱いについては、ブログ投稿時の税制によるものです。


退職金を受け取るにあたって、税務上の否認はできる限り避けたい。

一方で、せっかくであれば“できるだけ多く”受け取りたい——

経営者の皆さまに共通する自然な感情ではないでしょうか。


退職金の適正額については、

一般的な目安として「功績倍率法」が用いられています。


最終報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率


この式に当てはめて算出された金額が、税務上妥当とされる退職金の1つの目安です。

すると、次のような“発想”に至る方もいらっしゃるのではないでしょうか。


「勤続年数や功績倍率を変えることは難しい。

 しかし最終報酬月額ならある程度調整できる。

 増額すれば、退職金も増やせるのでは?」


一見すると理屈は通っているように見えます。

ですが、この考えは本当に問題のない方法なのでしょうか。

本記事では、この疑問について解説いたします。

<目次>
・最終報酬月額を退職前に増額すると?
・おわりに

最終報酬額を退職前に増額すると?


結論からお伝えすると、

退職前の不自然な報酬増額は、

税務否認につながりやすい、リスクの高い行為です。



税務署は、役員報酬の増額について、以下の観点から妥当性を確認します。

「業績の推移と整合性はあるか」

「役員の職務内容や責任の変化に金額が見合っているか」

「従業員の給与水準と比較して不自然でないか」

「同業他社の事例と比較して過大でないか」


例えば

「業績は10年間ほぼ一定で、社長の仕事内容も一般的な範囲内。

 一方で役員報酬は5年で4倍になっており、その報酬額を基準に退職金が支給された」

といったケースがあった場合、どのように判断されるでしょうか?



この状況は報酬増額が

「業績への貢献や職務内容の変化に対する正当な対価」としてではなく

「退職金を多く受け取るための恣意的な操作」とみなされる可能性が高いです。



結果、増額後の報酬を基準に算定した退職金は“適正額”と認められず、

超過分は損金不算入となり、「過大役員退職金」として法人税の課税対象となります



さらに増額した役員報酬そのものも「過大役員報酬」と判断される可能性があります。

このとき超過分が損金不算入となり、法人税の負担はさらに増加します。

おわりに


このように退職金を多く受け取りたいがために報酬を増額しても

「過大役員退職金」「過大役員報酬」とみなされ、

会社に大きな負担をもたらす恐れがあります。



「過大と判断されることは避けたい…」

「しかし、老後資金や相続に向けた備えのことを考えると、できるだけ多く受け取りたい…」


――そんなお悩みに対して、

実は「退職金の受け取り方を少し工夫するだけで」

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